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ママライター葵のSAKAI REPORT@堺ふとん太鼓

こんにちは。サカイノマで記事を書きだしてから堺にどんどん詳しくなってきたママライター葵です。

さて、暦の上ではもうすぐ秋。秋といえば祭。堺ではふとん太鼓とだんじりが有名ですね。

実は昨年9月、サカイノマスタッフでふとん太鼓を取材してきたんです。だんじり文化の中で育った私ですが(岸和田出身です)、ふとん太鼓は生まれて初めて。生で見るとかなりの迫力! しかも話を聞けば聞くほど興味深い!

残念ながら今年は新型コロナウイルスの影響で中止となってしまいましたが、祭り気分だけでも味わってもらいたい! ってことで、今日はふとん太鼓についてお届けします。私のように「ふとん太鼓全然知らないよ」って方にもわかりやすいよう、ビギナー目線で書いてみました。臨場感あふれる写真とともにお楽しみください。

 

ふとん太鼓は堺発祥(かもしれない)

 

堺の人にとっては、ふとん太鼓は百舌鳥のイメージが強いかもしれませんが、今回密着したのは、堺区にある菅原神社に宮入りする2台のふとん太鼓です。

堺発祥ともいわれるふとん太鼓ですが(諸説あります)、実は西日本各地に存在します。形やスタイルはそれぞれですが、今回ご紹介する北戸川(きたとがわ)と海船濱(かいせんはま)の2台は、ふとんの下に小屋根がついた、いわゆる「堺型」。5枚の赤いふとんが逆三角形になるよう神輿の上に積まれ、四隅には大きな房がついています。

サカイノマふとん太鼓1

ちなみに、「北戸川」「海船濱」というのは町名ではなく、いくつかの町が集まった単組(単位組合)の名前です。「北戸川」は、昭和40年頃まで阪神高速堺線の下を流れていた土居川に扉の付いた橋がかかっていたことに由来しているのだとか(これも諸説あり)。扉付きの橋はいくつもあったようで、現存する「北戸川」「大南戸川」のほかに、「中戸川」「南戸川」といった地名もあったそうですよ。

 

ふとん太鼓、ココに注目!

 

ところで。ふとん太鼓の祭りは、正式には「八朔祭」といいます。 八朔とは、旧暦の八月朔日(1日)を略したもので、新暦でいえば9月上旬あたり。八朔祭は、本格的な収穫を目前にひかえたこの時期に執り行われる、五穀豊穣・家内安全を祈願するための「神事」なのです。毎年9月13日、14日に執り行われるこの神事を賑やかすために奉納されるのがふとん太鼓というわけです。

ちなみに・・・そんなことも知らんかったんか! という声が飛んできそうですが、私ずっと「なんで布団担いでるんやろ」と疑問だったんですよね。この日ようやく謎がとけました。ふとん太鼓のふとんって、寝具の布団ではなく「座布団」らしいんですね。神様がお座りになる座布団を神社に奉納する、と。なるほど、ふとん太鼓が急に神々しく見えてきました。

さて、その巨大な神様の座布団を乗せた神輿を、約60人の男たちが肩を入れて担ぎ上げます。そして、「べーらべーら、べらしょっしょい」の掛け声とともに「鼓童(こどう)」と呼ばれる乗り子が叩く太鼓の音に合わせて足を運びます。

サカイノマふとん太鼓4

ふとん太鼓の見どころはズバリ “四隅についている大きな房をいかに美しく振るか” です。五穀豊穣・家内安全を願ったお祓いの意味をもつだけに、正面の2つ、後ろの2つがそれぞれ露払いのように揺れるのが理想なのだとか。でもそれって、前後左右の担ぎ手がバランスよく動かないとうまくいかない話。実際は重すぎてまっすぐ進むことすら難しいようです。それでも房の揺れに注目していれば「あっ、今のキレイ!」という瞬間を発見できますよ。

 

コブは男の勲章?

 

ところで、祭りの男ってどうしてこうもカッコよく見えるんでしょうね。ハッピに身を包み、汗を光らせながら真剣な表情で一致団結する男たちの姿は、年齢問わずやたらと魅力的。なんかこう、いつもよりシュッとしてるというか、1割? いや、2割増しでカッコよく感じるものです。

サカイノマふとん太鼓5

カッコいいといえば、今回私が一番衝撃を受けた「コブ」のことを語っておかねばなりません。

ふとん太鼓の総重量は2トン近く。単純計算で、一人の体に30kg以上もの負荷がかかっていることになります。イメージするなら、10kgの米を3つ肩に乗せて歩いている感じ。・・・想像するだけで肩がこってきました。

そんなわけで、ふとん太鼓の主な担ぎ手は、もっとも体力のある10代〜30代の男性です。彼らをよく見ると、みんな首元が赤ーく腫れています。そりゃそうですよね、あんな重いものを担いでいるんですから。祭りが終わればこの腫れはいったんひくのでしょうが、次の年もその次の年もまた同じところが腫れますよね。

これを毎年繰り返すと・・・なんとコブになるんです! 年輩の方を見ると、あの人もこの人も首の後ろに大きなコブが!! これ、初めて見る人にとっては二度見、いや、ガン見してしまうくらいのシロモノです。でももしかしたら、彼らにとっては担ぎ手としての経験値を示す、 ちょっとイケてる勲章のようなものなのかもしれませんね。

サカイノマふとん太鼓6

 

ふとん太鼓 LOVERの挑戦

 

少子高齢化や人口減少などの影響で存続の危機にさらされている地域の祭りがたくさんあると聞 きます。菅原神社に奉納されるふとん太鼓も例外ではありません。戦争で焼けたり持ち主が維持できず手放したりして、13台あったのが現在は2台と随分減ってしまいました。

そんな中注目したいのが、30〜40代の若者たちを中心にふとん太鼓を後世に引き継ぐための新しい動きが起こっていること。

たとえば、これまで菅原神社のふとん太鼓は9月の13、14、15日と日にちが決まっ ていました。が、平日にあたると担ぎ手や見物客が不足しやすい。そこで、2018年から日時を変えて週末に行わるようになったのです(神事自体は本来の日程で行われています)。担ぎ手も、その地域の住民でなくても男性なら誰でもOKなんですって。

サカイノマふとん太鼓7

菅原神社に宮入りするときのスタイルにも変化がありました。これまでは、1台が宮入りし ている間もう1台は神社の外で待機していたのですが、昨年から2台いっぺんに宮入りするようになりました。2台並ぶと大迫力!

サカイノマふとん太鼓8

ほかにも北戸川では、獅子舞による演出や10代の女の子たちで構成される姜扇(きょうせん)のダンス、それから小屋の幕をデザイナーに作ってもらったりと、新しいアイデアを積極的に取り入れています。

サカイノマふとん太鼓9

サカイノマふとん太鼓

これらの演出はいずれも人をつなぐためにしていること。伝統や文化を後世に残し伝えていくためには、守るだけではなく、試行錯誤や創意工夫を繰り返し、時代にあわせてマイナーチェンジしていく必要があるのかもしれませんね。

ふとん太鼓を愛する若者たちの挑戦は、まだ始まったばかり。来年の八朔祭ではどんな顔を見せてくれるのでしょうか? 今から楽しみですね。

サカイノマふとん太鼓10


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