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STYLE  過去・現在・未来の様々な視点で堺の持つ魅力を発掘/検証/企画/提案

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間の間の話 vol.01「ゲスト:谷尻誠さん」その1

2017年1月24日、「SAKAINOMA cafe」にて
新しいプログラムがはじまりました。

名前は『間の間(まのま)』。

堺で新たな状況を生み出す試みとして、
「サカイノマ」の立ち上げ人である
デザイナーの間宮吉彦さんをホストに、
毎回様々なゲストを招いてのトーク、
そしてゲストも含め、
地域で活動されている方々や堺内外のクリエイターとともに、
お酒を酌み交わしながら堺のこれからについて考え、
語り合う場をつくります。

というようなことで、このブログ『間の間の話』では、
隔月で行われる「間の間」の模様をお伝えしていこうと思います。

ご紹介が遅れました。
この『間の間の話』ライターの古島です。
ふだんは、「ことばとデザイン」というデザイン事務所で
ことばとデザインの仕事をしております。
何を隠そう僕も高校~大学時代は堺市民でした。
と言いつつ、大学は富田林の山の中だったので、
実は堺のこと、あんまり知りません。
サカイノマを通して、堺の魅力をどんどこ知っていきたいと思いますので、
どうぞよろしくお願いいたします!

さてさて、『間の間』1回目の記念すべきゲストは、
なんと、谷尻誠さん(建築家、SUPPOSE DESIGN OFFICE代表)。
広島と東京を拠点に国内外で活動。
これまでに数々の賞を受賞し、
常識にとらわれることなく、
従来の建築の枠を超えて常に新しい価値観を探求し続ける
日本を代表する建築家です。

ともに空間デザインを手がける間宮さんとのトークセッションでは、
昨年谷尻さんがJCDデザインアワードの大賞を受賞した
「BOOK AND BED TOKYO」や
地域と観光の在り方をデザインから捉え直した
「ONOMICHI U2」など、
最近の仕事や地域との関わり方についてトークが繰り広げられました。

早速お二人のトークを!なのですが、
その前に、少し堺のことを知っていただいてから
本編にまいりましょう。

「なんで堺に谷尻さん?」
「町の人とクリエイターが集まって何するの?」

第1回目の「間の間」は、
「サカイノマ」ディレクターでデザイナーの藤木さんの
こんな話からはじまりました。


みなさん、今日はお集まり頂きありがとうございます。
第1回の『間の間』ということで、
ゲストに建築家の谷尻誠さんにお越しいただきました。
よろしくお願いします。

谷尻さんも堺が初めてということなので、
最初に簡単に堺のことと、
この「サカイノマ」というプロジェクトについて
説明させていただこうと思います。

堺は、大阪市の下に位置する大阪で2番目に大きな市です。

歴史的な要素としては、日本最大の古墳があったり、
信長・秀吉の時代には港として栄えていたり、
文化的なことでいうと千利休が堺の出身だったり。
産業は、古くは鉄砲、刃物。
包丁と自転車は今も有名かなと思いますが、
まぁ、歴史的にはすごくたくさんの要素がある土地柄ではあります。

ただ残念なことに、
ここらへん戦争で2回くらい全部焼かれてるんですよね。
だから歴史的な資産は、現物としてはあんまり残っていません。

人も大阪市が近いので、働くのはそっちに流れちゃってて、
この辺りも、おじいさん・おばあさんが多いエリアだったりします。

割と長らくそんな感じだったんですけど、
最近新しいことがはじまってるエリアもあります。
北部地区の「高須神社」は、
元紡績工場跡をカメラマンの小野晃蔵さんが「スピニングミル」として再生したり、
「藤谷商店」さんは、アンティークのデザイナーズプロダクトを扱う
セレクトショップをされていたり。
堺東では「ガシバル」っていうバルイベントをしてたり。

そういう流れの中で、
「サカイノマ」も間宮さんと一緒に動き出しました。

「サカイノマ」は、熊野町と錦之町にあった家屋をリノベーションした
宿泊できる施設を運営する団体です。
「熊」と「錦」っていう2つの施設があって、
今みなさんにお集まりいただいてるここが「熊」です。
カフェと小さな宿泊施設があります。

もう一つの「錦」は、ここよりちょっと大きな宿泊施設で
ここから自転車で10分くらい。





谷尻さんには今晩そっちにお泊まりいただくんですけど、
この2つを運営してるのが「サカイノマ」です。

ちなみに、この「熊」とか「錦」ってマークは、
僕が一からデザインしたものじゃなくて、
もともとこのエリアには町ごとに町紋ってマークがあるんです。
それを提灯に入れたのが「町紋提灯」。
店先の提灯も町紋提灯をモチーフにデザインしてたりします。



「サカイノマ」が、宿泊施設とカフェでやりたいことは2つ。
「観光事業」と「魅力発信事業」です。
まず、堺で観光してもらう際の拠点づくり。
そして、堺の内外の人が交流するための拠点づくりです。


この2つはつながっていて、
人の流れを生まないと町は活性化しないし、
町に魅力がなければ人は観光に訪れない。
両方をうまく回していくことが大切だと思います。
「サカイノマ」は、観光と魅力発信の2つの視点で
「内と外を繋ぐ結束点」になりたいと考えています。

堺を魅力的で活気のあるまちにするためには、
今ある堺の資産を活かしながら、
同時にこれからの資産を生み出すきっかけをつくる。

そのために必要なものを
僕たちは「外からの視点」と呼んでいます。
「観光客の視点」
「若者の視点」
「デザイン・アートの視点」
などの視点のことです。
若者の視点、例えば
「堺市外に出た若い人が戻ってきたくなるには?」
っていう視点で考えてみるとかね。

デザイン、アートの視点という話も重要で、
もともと堺は、職人・商人の町で、
そこにはものづくりがあったし、
千利休とか今でいうクリエイターが居たりしたんですよね。
堺の発展とそのことは無関係ではない…
というか、むしろそういう人たちが
堺のまちの魅力をつくってきたんじゃないかなぁと。

今まさにそういう力が必要だと思っていて、
ここからどんどんクリエイターの方に集まってもらって
力を発揮してもらうような状況をつくりたいと思っています。

そんなことを間宮さんとも話しながら、
今回、『間の間』を立ち上げました。

今日、谷尻さんに来ていただいてることも大きなことなんですけど、
ここからいろいろ気づきや視点や参考になるようなお話を
していただけたらと思っています。

それでは、次回からのトークお楽しみください。


Author
古島 佑起

ことばとデザイン主宰。グラフィックデザイン、コピーライティングを軸に、行政、教育、芸術・文化、医療、飲食、農業など幅広い分野で、広告制作やイベント企画、商品開発などを行なう。近年は大阪・八尾のものづくりの魅力を発信するプロジェクトYAOLAで精力的に地域と関わる。

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