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胡桃が入っていない?!くるみ餅の虜になる -かん袋-
“くるみ餅”一筋の老舗「かん袋」は、四季問わず多くの人で賑わい、他府県から訪れる人もいるなど、人気の名店。
名称からイメージする胡桃は使われておらず、餅をくるんで食べることから名づけられたくるみ餅。白く美しい餅が、ほど良い甘さの餡でくるまれた逸品は、決して見た目にも豪華ではないけれど、「また食べに来よう」と小さく宣言してしまうような、良い意味で依存性のある味なのだ。
店の歴史は鎌倉時代末期、和泉屋徳兵衛が和泉屋という御餅司を開いたのが始まり。大阪城天守閣の瓦を葺く工事の最中、一枚一枚瓦を運び上げていた様子を見た徳左衛門は「これは容易にはいかない」と思い、餅づくりで鍛えた腕力で、瓦を屋根の上に放り投げた。その様子はまるで紙袋が舞い散るようで、様子を見ていた秀吉が「かん袋が散るように似ている。以後かん袋と名付けよ」と発したことから、和泉屋の商号は「かん袋」になったと言われている。
かん袋の始まりから、約690年という時代で多くの物事が変わっていく中、くるみ餅は現在の27代目まで、変わることなくその味が受け継がれている。
くるみ餅のほかにも、ふんわりとした食感の氷がのせられた氷くるみ餅もぜひ食べてもらいたい。特に暑い夏には、五臓六腑に染み入る味わいだ。
近くまで来ると「ちょっと食べに行こうか」とふらっと立ち寄ったり、家の水屋に持ち帰り用の壺があったり…堺市民には、なんだか昔から傍にあった「かん袋」。
銘菓くるみ餅は、時折無性に食べたくなる“旧友”のような存在なのだ。
堺に訪れた際には、ぜひ“旧友”に会いに来てほしい。