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STYLE  過去・現在・未来の様々な視点で堺の持つ魅力を発掘/検証/企画/提案

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間の間の話 vol.03「ゲスト:辻野剛さん」その3

「灯しびとの集い」の会長であり、ガラス作家である
辻野剛さんをゲストにお招きした第3回「間の間」。

辻野さんのお話のあと、参加者みんなでテーブルを囲んで、
フリートークがはじまりました。

「灯しびとの集い」やクラフトをひとつの起点として
堺の街に新しいつながりを生むために、何ができるだろうか。

行政、企業、作家。
さまざまな立場の参加者によって
繰り広げられた議論のもようを、お届けします。

 

 

─── 堺に、新しい価値観を

「街にクラフトを根づかせる」。
今回、間の間vol.3にこのテーマを掲げた理由について、
主催者から改めて、想いと狙いを語った。

藤木(サカイノマ ディレクター)
「堺は、良くも悪くも、昔のまま、というイメージが、僕のなかにあって。
そこを変えていきたい、という想いが、
SAKAINOMAの原動力のひとつになっています。
もちろん、良い部分は残したままで。

たとえば、今のような「手仕事をつくっている街」から、
「手仕事を楽しめる街」に変えていけないかと、考えています。」

街に、新しい価値観を。
その視点に立つと、「灯しびとの集い」は
「人を集めること」以上の意味を、堺の街にもたらしている。

参加者(行政関係)
「堺区からすれば、自分たちで主催したいほどのイベントを、
民間の方がやってくれているのだから、応援しない手はありません。
たとえば、もっと堺の街中や商店街の空き施設にも、
広げていけないかとお声かけしたこともあります。
場所については、大仙公園のあの広場がいいということでしたが。」

行政も支援を惜しまない「灯しびとの集い」には、
街の魅力を発信するための“きっかけ”として、期待が集まっている。

 

 

───「灯しびとの集い」と、ミラノサローネ

藤木
「実は、灯しびとの集いに合わせて、というわけではないですが、
SAKAINOMAでは数年前から『71』というものをやっています。」

『71』は、テーマに合わせて作家さんを呼び、開かれる展示会。
お客さんに実際に作品を手でふれてもらいながら、手仕事の良さを伝えている。

「せっかく『灯しびとの集い』に全国から人が集まっているのだから、
それだけで帰るのではなく、もっと堺の街を見てほしい、という想いがあります。

大仙公園からここまでは少し距離があるので、
人の流れはわかりにくいですが、
しっかりアピールできれば、堺の街を歩いてくれる、
回遊してくれるきっかけになるのではないかな、と。」

辻野さんはこの話を聞いたとき、ぜひやってほしいと頼んだそうだ。

辻野
「たとえば、『サローネ』みたいに、
こちらから仕掛けるのではなく、
地元の人が「人が来ているからなにかやろう」と
自発的にイベントを起こしていくところを見たい、と思ったんです。」

辻野さんの言う『サローネ』とは、
毎年4月にミラノで開催される国際家具見本市、
『ミラノサローネ』のことだ。
50年以上の歴史を誇り、本会場には2,000を超える出展がある。
そして、本会場だけでなく、『フォーリサローネ(サローネの外という意味)』
といって、開催期間中は、街のあちこちでイベントが行われ、
ミラノの街中が、大いに盛り上がる。

参加者
「ミラノ市内のメーカーショールームや、
ギャラリー、美術館や大学とか。
そんな施設を利用して、
いろんなデザインの演出を見せる、という動きが
街中に広がっているんですよね。

歴史ある教会なんかでも、
照明を見せるイベントが行われていたりします。」

「堺でも、そんな風に街中にクラフトが広がればおもしろいですよね。
たとえばさっき仰っていたような空き施設を紹介してもらって。
ミラノが教会なら、堺にはお寺や神社がありますし。

そういう点と点がつながっていけば、
街全体を歩いてもらえる、楽しんでもらえるかもしれませんね」

 

 

─── 堺という街を楽しむための、いろんなアイデア

サローネのように、イベントに合わせて、街全体を盛り上げる。
その発想から、新しいアイデアが次々と交わされた。

参加者のみなさん
「人がたくさん来る、と知っていても
やっぱりなにかを起こすのは大変なことだと思うんです。
だから行政から、うまくサポートしていけたらいいですね。
たとえば案内マップをつくるのも、行政が取りまとめたらスムーズですよね。」

「手仕事の街、堺だからこそ、
クラフトフェアが盛り上がっているのだとしたら、
それをうまく活かす方法も、たくさんあるような気がします。
たとえば、『灯しびとの集い』の出展作家さんの作品を使って
食事ができる空間を設けるとか。」

「大仙公園からここ、旧市街のあたりまでを結ぶように
クラフトからデザイン、食事のような体験まで、
いろんな楽しみ方を散りばめて、
導線をつくっていきたいですね。」

「堺という場所を楽しんでもらいたい。
手仕事やクラフトを、いろんな角度から見てもらいたい。
すぐに“本物”の良さをわかってもらえるかはわからないですが、
“本物”をつくってきた街として、発信していけたらいいですね。」

「堺に来る人はもちろん、
堺に住む人たちにとっても、楽しめるようなイベントにしたい。
そうすれば、堺の街に本当の意味でクラフトが根づき、
価値観が変わっていくきっかけに、なるんじゃないでしょうか。」

食事とお酒を楽しみながら、まだまだ議論は続きましたが、
ここで一旦、区切りとさせていただきます。

全3編に渡って「間の間 vol.03」の様子をお伝えしてきましたが、
お楽しみいただけたでしょうか。

いろいろな人のアイデアや活動がつながりあって、
新しいかたちを育んでいく場所。
SAKAINOMAは、そんな場になりつつあります。

参加者のみなさんによるフリートークからも、
新しい街づくりのヒントになるような意見や
実現に向けた具体的な課題などが、次々と出てきました。

そんな声が、かたちを伴った活動として堺の街に現れるのも、
そう遠くない未来かも知れません。


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