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STYLE  過去・現在・未来の様々な視点で堺の持つ魅力を発掘/検証/企画/提案

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堺まつり直前特別企画「堺まつりって何なんだ?!」

堺は、夏から秋は祭りの季節で、ずっとどこかで祭りがあるお祭りのまちになります。

中でもシーズン後半の山場として『堺まつり』は外せません。『堺まつり』は、2018年で45回目という長い歴史があり、南蛮行列で知られる目玉の大パレードは参加者だけで7,000人にもなる堺最大規模のお祭りです。

『堺まつり』を毎年楽しみにされている方は、お祭り大好きピープルか否かを問わずに沢山いるでしょう。しかし、いつの間にか足が遠のいているなぁって人も結構いませんか?

「子どもの頃パレードに出たけれどそれっきりだなぁ」「なんばん行列っていわれても、なんか堺区だけのお祭りって気がする」なんて声もちょくちょく耳にします。
いえいえ『堺まつり』ごぶさたの皆さん、ちょっとお待ちください。実は堺まつりは、ここ何年かの間に超特急でグレードアップしているのです。
「もう、昔の堺まつりじゃないんですよ」
と、自信たっぷりに語るのは、堺まつり大パレード演出プロデューサー(株式会社ビッグアップル・プロデュース代表)の堀埜浩二さん。

一体どうしてそんなことになったのか、堀埜さんにお話を伺い、提供いただいた資料などをもとに、昨年の『堺まつり』を例に進化した『堺まつり』の魅力を3つの推しポイントで紹介します。

 

1600年途切れない時代絵巻

今回注目するのはシンボルロード大小路を全面通行止めして行う「大パレード」。

「大パレード」といえばなんばん行列が定番のはずですが、2017年の「大パレード」の様子をふりかえると、古墳時代の戦士や平安貴族に戦国武将、ヨーロッパの騎士まで闊歩(かっぽ)しているではありませんか。

実は「大パレード」は南蛮行列だけでなく、長い長い1600年もの堺の歴史を「古墳時代」「中世」「近世」「近代」「現代」と5つの時代で表現する『時代パレード』へと発展していたのです。

▲古代から現代までのを3Dで体験できる「大パレード」。教科書読むよりわかりやすい!?

 

つまり「近世」のなんばん行列と「現代」のマーチングバンドなどしかなかったのが、かつての大パレード。そこに全時代をつっこみ、あたかもノーマルラーメンを全部のせラーメンにしたのが今の大パレードなのです。これは1600年に渡って、どの時代でも何か歴史的な出来事やトピックスがあるという、堺が世界的にもまれな都市だからこそ成立するパレードともいえるでしょう。この古墳時代から現代まで途切れない時代絵巻であることが、1つめの推しポイントです。

 

7区ごとの魅力がたっぷり

さて時代行列は、今なんといっても熱いのが古墳ブーム到来の古墳時代からスタート。百舌鳥古市古墳群のユネスコ世界文化遺産登録までまったなし。土器や鉄器を作る人たちが活躍し、今の職人のまち堺の伝統のはじまりになったのがこの時代です。

2017年の「大パレード」には、鉄の甲冑を身にまとった美原区の「短甲隊」、中区からは古墳やハニワを作った一族・土師氏の「土師隊」に、泉北丘陵にあった陶邑から「よみがえる須恵器」などがぞくぞく登場します。

▲鉄の技術の伝統はここからはじまった!? 美原区「短甲隊」

 

こうして古墳時代から次の時代、次の時代とみていくと、おやと気づかされます。
大パレードは、堺の7つの区それぞれを代表する隊が参加していることを。それは5つの時代を代表するのと同時に7つの地域の文化や歴史を反映した隊になっています。
北区の「竹内街道隊」、西区の「行基隊」、南区の「小谷一族隊」、堺区の「会合衆隊」、東区の「文化隊」。そこにフロートや衣装行列など個性的な隊が加わります。つまり、この大パレードを見ることは、堺の歴史に触れるのと一緒に広い堺の地域の個性と出会うことにもなるのです。もう「堺区だけの祭りでしょ」なんて言わせません。すべての堺市民のための、『堺まつり』へと変わりつつある。これが2つめの推しポイントです。

▲伊達正宗の時代に堺から仙台に伝わった「すずめ踊り」が堺にお里がえり。

 

 

迫力満点!! 火縄銃の一斉射撃!!

そして3つめの推しポイントは【火縄銃(鉄砲)】です。戦国時代にポルトガルから伝わった火縄銃のメッカとなった堺。江戸時代には火縄銃の製造修理で全国シェアナンバー1でした。「大パレード」では、4つの時代のはじまりなどで【祝砲】として火縄銃の射撃が披露されます。

もちろん空砲とはいえ、爆音と白煙は迫力満点。「大パレード」の中でも見せ場のひとつといえるでしょう。

この火縄銃の射撃には厳しい規制があり、堺まつりのように大量の火縄銃が、しかも公道で使われることは全国的にも非常に珍しいのだそうです。堺まつりでは長年安全に配慮して無事に【祝砲】をうち続けたこともあり、今では警察の信頼も厚いのだとか。

これまで何度も見物したという方も、ぜひそんな先人の努力を思いうかべながら、火縄銃の【祝砲】に注目するのはいかがでしょうか?

▲火縄銃の祝砲がまちに轟く。

 

いよいよパレードのトリとなる「現代」では、今、堺各地で活動する団体が中心になります。一輪車やマーチングバンドで幼稚園や小学校からの参加を懐かしく思いだしてしまう方もいることでしょう。「大パレード」の時代行列などに参加している方の中には、かつて子ども時代にパレードを歩いたという方もいます。あるいは自分の子どもが同じように行進しているのを見物しているという方もいるでしょう。

こうして『堺まつり』自体も毎年の開催を積み重ね、少しずつ姿を変えながらも受け継がれて伝統になっていくのでしょう。世代を越えて受け継ぐ祭り。堺に住み、そしてこれから住んでいく人にとっての推しポイントかもしれませんね。

▲大トリは「堺まつりふとん太鼓連合保存会」の担ぐふとん太鼓の登場となります。勇壮なふとん太鼓は堺まつりの最後に相応しい華やかさです。

 

いかがだったでしょうか。2日間にわたりいくつもの会場で繰り広げられる『堺まつり』、そのハイライトである「大パレード」の一部を紹介しただけにすぎませんが、見どころの多いお祭りであることがわかっていただけたのではないでしょうか。

実際に見ていただければ、もっともっと推しポイントがあるはずです。今年の秋は、ぜひおでかけの候補に『堺まつり』を加えてみてください。


Author
渕上 哲也

フリーライター。古今東西、人間のやることは不思議で興味がつきません。同じ人のやることなんだから同じ人が伝えることは出来るはずと、未知の領域ほど向かいたいと思っています。

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