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ママライター葵のSAKAI REORT @八花祭2018

こんにちは!ライターのヒガキアオイです。5歳と2歳の子をもつ2児の母です。で、実はサカイノマのサイトでは、二度目の自己紹介です(笑)以前このサイトで『「幸せ呼吸と至福のコーヒーイベント」REPORT』という記事を書かせてもらい、今回、そのお試し期間??を経て(採用!?)、本格的にサカイノマのライターとして活動することになりました!堺で行なわれるイベントを中心に、ときに子育て世代のママとして、ときに一人の女性として様々なレポートを書いていけたらなと思っています。宜しくお願いします!!

ということで、今回は4月28日、29日に開催された「八花祭2018」のレポートです。ぜひご覧ください。

 

ここは綾之町東商店街

チンチン電車が商店街を横断する珍しい光景を見ることができる場所だ。薄暗いアーケードの中、細い道の両脇にひしめきあって並ぶ店々を見ると、人と人の距離が近くてぬくもりを感じられる場所なんだろうなと想像できる。

もっとも現在は、数店舗がほそぼそと営業しているだけ。長い時間下ろされたままであろうグレーのシャッターや、錆びたトタン壁、木板がはがれかかった店の扉…
そう、ここはいわゆる「シャッター商店街」。

 

古さの中に秘めた可能性

雲一つない青空がひろがる4月最後の週末、綾之町東商店街の静寂をやぶる2日間がやってきた。「八花祭」だ。

踏切をわたり商店街に足を踏み入れると、山下達郎の歌声が聞こえてきた。彼がまだ若い頃の作品なのだろうか、初めて耳にする曲だ。アーケードの中には、着物の反物からつくったというカラフルなフラッグがつりさげられ、お祭気分を盛り上げてくれる。行き交う人はどこかなつかしい衣装を身にまとい、ドリンクや食べ物を手に、となりの人と笑いあっている。

八花祭は、「大阪万博」のころの時代感や空気感を会場全体のイメージにしている。ちなみに「大阪万博」は、昭和45年に開催された当時史上最大規模の式典だ。のべ77カ国が「人類の進歩と調和」をテーマに国の威信を懸け、今までにない新しいものを創造した。きっと、古いものと新しいものが入り交じり、自由で遊び心があり、夢や希望に満ちあふれ、理想を目指してがんばっている、それでいて少し的外れだったり間抜けだったりするものもあったりと、とにかくカオスでおもしろい時代だったのだろうと想像する。(私は産まれていないので、あくまで想像です…)

そんな時代の遊び心を演出するためか?今回、商店街のなかに軒を連ねるお店は、辻さんの無理な?オーダー?共働?で、普段とは異なる顔を披露している。カレー屋さんがカオマンガイを、石けん屋さんがアイスクリームを、パンケーキ屋さんがプリンを・・・ どれも八花祭でしか味わえないスペシャルな味だ。うん、贅沢!

 

商店街内の大工工房「あをい屋」は、なんとこの日はラジオ局に変身! 2人の男性DJが、八花祭のために選んだとっておきのレコードに針を落とす。曲が流れている間、ラジオ局には音楽好きの大人が集まり談笑している。まるで、オトナの部室だ。

彼らがチョイスした昭和の名曲や、出店者さんを招いてのトークは、バーカウンターにおかれたラジオから商店街中に流れ、祭に一体感を生み出している。特別ゲストにFM802のDJばんちゃんを迎えると、八花祭はますます盛り上がりを見せた。

 

 

「おもしろい」はここにある

八花祭の主催者は「あをい屋」の辻大樹さん。ぎりぎり昭和生まれの辻さんは、アンティークでもヴィンテージでもない昭和の古道具を愛してやまない。辻さんがコレクトした古道具と相方の福呂裕子さんがつくるドライフラワーを扱うお店「八花堂」の昭和レトロな世界観。そもそもこれを誰かと共有できたらおもしろいんじゃないか、それが商店街全体に広がったらもっともっとおもしろいことになるんじゃないか! そんな想いが、今回開催された八花祭の根底にある。

今回で二度目の開催となるが、辻さんの「おもしろい」は前回を上回る数の人たちに伝播。近隣の住民にとどまらず、SNSやチラシを見て遠方からやってきた人がたくさんいた。私もそのひとり。バスとチン電を乗り継ぎたどり着いたこの小さな商店街は、こんな機会でもなければ来ることはなかったかもしれない。

実は八花祭を1週間後に控えた日、私は辻さんを訪ねて綾之町東商店街に初めて足を踏み入れていた。そのときはバーカウンターや屋台はできあがっていたものの、まだ装飾はされておらず、祭会場のゲートやパーゴラも木枠だけの状態だった。人通りもわれわれ以外にほとんどなかった。ここからどうなるのか楽しみな反面、「間に合うのかな」とも思った。

 

それがどうだろう。一週間後に再訪すると、あんなに閑散としていた商店街がたくさんの人であふれ返っている!丸裸だったゲートやパーゴラはグリーンの衣装を着せてもらい、商店街はノスタルジックな森に大変身。バーカウンターにはカラフルなお酒のビンが、屋台にはフードやハンドメイド作品が肩をならべている。路上パフォーマーがショーを始めると、すぐに人だかりができ、歓声が沸き起こった。

 


当日はゆるーくドレスコードがあり、昭和を知る人も知らない人も、それぞれが思う「昭和レトロな衣装」に身をつつんでいた。サスペンダーに蝶ネクタイ、ベレー帽や丸メガネ。着物を着ている人もチラホラ。そうとは知らず、普段どおりの服を着ていった私・・・。カットソーのピンクがややくすんでいたのが幸いだったが、こんなことならバンダナのひとつやふたつ頭に巻いていくべきだったと、ちょっと後悔である。

 

 

あなたもわたしもクリエイター

アーケードのなかに西日がさしこむ頃、ステージの上には昭和ジャズバンド「宮下ママレード& herマトリョシカBoys」の姿があった。ギターやサックスを手にした男性の中に紅一点、にこやかな表情がとってもチャーミングなおかっぱヘアーの女性がマイクに向かう。

彼らが奏でるのは、透きとおるような日本語が印象的な、戦前のジャズソングだ。ライブが始まると、店番をしていた人たちも屋台から出てきて、手を叩いて盛り上げる。グルービーな演奏にあわせ、路上パフォーマーの男女がどこからともなく現れ踊り出す。

 

イスに座ってカフェラテを飲みながらライブを楽しんでいた私に、パフォーマーのお姉さんが手を差し伸べた。「えー!」と言いつつ、ダンスなんてほとんどやったことないのにノリで一丁踊ってみる。すると、これがめっちゃ楽しいのだ!

座っていた人が立ち上がって自ら踊り出したり、老夫婦が向かい合って一緒にリズムにのっていたり・・・ それまでライブを観るだけだった人たちが、手をとり輪になって体をくねらせる。みんなノリノリ、表情はニコニコ。日本人がシャイだなんて言ったのはどこの誰だと言いたくなるような光景が、そこにはあった。

ラストはみんなで「オー・シャンゼリゼ」を合唱。会場全体が口ずさみ、体を揺らす。みんなで何度も何度も歌った。綾之町東商店街にいるすべての人が、八花祭を盛り上げるクリエイターになっていた。

八花祭をやろうと呼びかけたのは辻さんだが、ひとりではこんなに素敵な2日間にすることはできなかったはず。企画や出店の楽しさをもっと伝えたい。新しいことへの挑戦や、クリエイトすることのおもしろさを広げたい。そんな辻さんの思いは、この場に集った人たちに届いたはずだ。

レトロなものが特に好きというわけではなかったし、昭和時代について深く思いを馳せたこともなかった。けれど、これからはレトロなものに出合うたび、ふと足をとめて八花祭のことを思うだろう。それはきっと、私だけではないはずだ。


Author
檜垣 葵

生まれは岸和田、住まいは堺。子育てママ応援情報サイトMama Oasisの編集長の顔をもつ2児の母。できた夫のおかげで、昼夜問わずふらっと出かける自由な主婦。

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