SAKAINOMA

STYLE  過去・現在・未来の様々な視点で堺の持つ魅力を発掘/検証/企画/提案

REPORT / COLUMN / CULTURE / LIFE  / OTHER

REPORT

間の間の話 vol.03「ゲスト:辻野剛さん」その2

前編につづいて、第3回「間の間」の様子をお伝えしていきます。
※前編の記事はこちら

2009年の初開催から、今年で9回目。
10年近い年月、実行委員会に関わり、現在も会長を務めている辻野剛さんは、
「灯しびとの集い」を通して、何を見てきたのか。
そして今、どんなことを考えているのでしょう。

暮らしのなかに、小さなあかりを灯す。

そのコンセプトを守りながらも、
少しずつかたちを変えてきた「灯しびとの集い」の
これまでと、これからを語ってもらいました。

 

 

─── 一過性の祭りではなく、町に根づいたイベントへ

初開催からずっと、「灯しびとの集い」は堺で開催されている。
辻野さんの目に、堺はどんな風に映っているのだろうか。

辻野
「堺は、千利休ゆかりの地。
日本の工芸を育ててきた「茶の湯」文化があり、
クラフトとは切っても切れない土地です。
だからこそ、もっとクラフトが根付いてほしいという想いはあります。

ただ、堺を外部の人にどんどんPRしていきたい、と考えているわけではありません。
それよりも、もっとこの土地で暮らす人たちにとって、
生活の一部のようなイベントになっていければ、と思っています。

たとえば堺で生まれた子どもが大人になったときに、
あの器はここで買ったものだったんだ、と気づく瞬間があったりしたら、
それも、生活に根づくということではないでしょうか。」

 

 

─── 柔軟な解釈が、新しいつながりを紡ぐ

生活に根づく。暮らしにあかりを灯す。
そんな考えで集められるクラフトには、どのようなものがあるのだろうか。

辻野
「最初は“暮らしの道具”ということではじめたこともあるので、
陶磁やガラスなどの器が多いですね。

でも、最近ではもっと多くのジャンルのものが集まっていて、
たとえばアクセサリーなんかもあります。
“生活に寄り添う道具”という意味では、
自分を表現することも、生活の一部と解釈することもできます。
それなら、アクセサリー作家さんだって参加できるのが自然かな、と。
そこは柔軟に取り組んで、かたちを変えている部分です。」

人の暮らしと、そのそばにある道具。
その関係を見つめた先に、新しい解釈が生まれていく。
だからこそ、新しいつながりが広がっているのかもしれない。

 

 

─── 足を止めて、手に取って、選ぶ時間も“商品”だと思う

今では、出展への応募は500を超え、倍率は5倍以上になっている。
それだけ応募があるのならば、
イベント規模を拡大することも考えられるのではないだろうか。
しかし、辻野さんは今の規模が“ちょうどいい”のだと語る。

辻野
「見る側の立場になると、会場が広すぎるのはどうなんだろうって思うんです。
各ブースの前を通り過ぎながら、並べられたクラフトを見るだけじゃなく、
足を止めて、手に取ったり、話を聞いたりできる時間がある。

クラフトって、一つひとつに個体差があって、
その表情の違いを見比べて、“選ぶ時間”も大切な商品だと思います。
購入までに、思わず商品を『この子』と呼んでしまうような、
お気に入りを見つけるプロセスを踏むことで、
はじめて生活のなかに入っていけるんじゃないかって思うんです。」

 

 

─── 500を超える応募から、どう作品を選ぶのか

出展応募が増えれば増えるほど、出展者の“選考”が重要になる。
「灯しびとの集い」では、実行委員会と別に、選考委員会が設けられている。

辻野
「実行委員会のなかには、自分も含め、作家が何人かいます。
その作家さんたちと話し合っていると、
クラフトフェアに応募したとき、
誰がどんな趣旨で作家を選んでいるのかがわからないと
心にひっかかりが生まれる、という声があったんです。

クラフトフェアを開催、運営する側として、
そこはクリアにしたい、という想いがあって、選考委員会を設けることにしました。」

選考委員会には、辻野さんも代表として参加したうえで、
6名の方をお呼びしているという。

辻野
「メンバーは、どっぷりクラフトの人、ではなくて、
“クラフトの近く”にいる人をお呼びするようにしています。

たとえば、雑誌編集や料理人だったり、ギャラリストであったり。
作家とは違う視点、生活者に近い視点を持つ人に、
選んでもらうようにしています。

ただ、生活者に近い視点を持つだけでは、
なかなか新しい出会いを生む機会は、つくれないと思っています。

クラフトというものは、古い技法でものをつくっているのにもかかわらず、
“トレンド”というものが必ずある世界なんですね。

たとえば、白い器、黒い器がブームになっていたこともありました。
するとその流れに反発する作家さんが必ずいて、
染付けのものが増えていくんですね。

だからこそ、その流れが見抜ける人、流行に対して感度が高い人を、
意識して選んでいるというところもあります。」

 

 

─── クラフト界の、先を走るイベントにしていきたい

選考委員会のメンバーは、3年ごとに交代する制度。
集まる作家、作品の顔ぶれも変わり、
これまでとは違う視点からクラフトを見つめる機会になる。

辻野
「これは個人的な想いですが、
『灯しびとの集い』がクラフト界のトレンドリーダーのような、
先端を走るイベントになれればいいな、と考えています。

ここで新しい価値や気づきと出会って、
参加していた方が、後々ほかのところでも活躍できるような、
そんな流れをつくっていきたいですね。」

「灯しびとの集い」を通じて、新しいつながりを生み出す。
そんな辻野さんのマインドにふれ、
今回の「間の間」に参加したメンバーたちはどんなことを考えたのか。

後編は、今回の「間の間」に参加した人たちも巻き込んだフリートーク。
辻野さんを囲んで、堺に新しい流れを生み出すための
アイデアが飛び出しました。

お楽しみに。


Author
株式会社 parks

2013年6月に大阪で生まれたコピーライター事務所。公園は、いろいろな人が自由に行き交う広場です。企画・取材・コピーライティングを柱に、いろんなブランドの想い、いろんな事業の可能性、いろんな人の人生。何かを始めようとしている人の熱い想いを受けとって、一緒に言葉をつくっていきたいです。

Webサイト、公開準備中

最近の記事

×

ページトップ