JP

EN

STYLE  過去・現在・未来の様々な視点で堺の持つ魅力を発掘/検証/企画/提案

REPORT / COLUMN / CULTURE / LIFE  / OTHER

REPORT

間の間の話 vol.01「ゲスト:谷尻誠さん」その4

───自身の刺激をスタッフにシェアする。

間宮
谷尻さんは、広島の事務所で月1回、
今日の『間の間』みたいな場を
開いてらっしゃるということで、
それについてお聞きしてもいいですか?

谷尻
THINK』っていうんですけど。
例えば会社の社長って、
いろんな人に会ってその中で
すごいインスパイアされるんですよ。
その間スタッフはパソコンの前で仕事してて、
そういう刺激が全然スタッフにはシェアされない。

間宮
確かにそうですね。

谷尻
そこで、僕は外で会った面白い人を
ちゃんとスタッフにも会わせて、
会社全体をインスパイアしてもらおうと思ったんです。
で、どうせやるなら
町の人にも聞いてもらおうと。
設計事務所なんて、
お客さんか取引先か行政の人しか来ないんで
実は社会との関わりが少ないんです。
だから普段会うことない人たちが、
「月1回事務所に来る」
って環境をデザインすること自体が、
実は社会を考えることに繋がるんじゃないかなって思って。
もうずっとやってて、今73回目が終わったところです。
2月はアートディレクターの千原徹也さん(れもんらいふ)、
3月はランドスケーププロダクツの中原慎一郎さん、
4月はOMAの重松象平さん。
5月は安倍首相の奥さんの安倍昭恵さん
ぐらいまで決まっています。

間宮
それどうやって決めていくんですか。

谷尻
僕が会ったことある人に『THINK』の話をして
あっ!ゲストのラインナップを
すごい人にしておくのがかなり大事で。笑。
「サカナクションの山口一郎さんとか、
堀江貴文さんとかが来てるやつで、
町の人のためにやってるんだ」って言ったら、
「行ってみたい!」とかって言うんで。
「来たいんなら来る?」みたいな。笑。
マネージャーとか事務所通すと
ハードル高くなるんで、
「オファーはしない」って決めてて。
本人が来たいって言ったら、
予定押さえて、
「事務所とかマネージャーさんに伝えといてね」
っていうやり方で。

 

───目的が明確になると動き出す。

間宮
サカイノマは1回目が谷尻さんで
もう素晴らしいですね。
で、やられてどうでした?

谷尻
大変といえば大変ですけど、
THINK』のお陰で
ガールフレンド見つけて結婚した人が、
うちの事務所だけでも3人ぐらいいますよ。

間宮
婚活もいけるんですね。

谷尻
ええ、ええ。
婚活に利用してるスタッフがいたりします。

間宮
なかなか会えないもんね。

谷尻
そういえば、うちのスタッフの男の子が、
女の子をご飯に誘うんですけど、
日にちが全然決まらないって言ってたんです。
僕は、「嫌われてんじゃない?」
って言ってたんですけど。
それでわかったのは
「ご飯行きましょう」っていうのは、
「僕とご飯に行く」のが目的なんです。
でももし、
「なかなか取れないお寿司屋さんの予約が
やっと取れたんだけど、行く相手がいないんだ。
悪いんだけど付き合ってくれない?」
って誘うと、
「寿司屋に行く」が目的になりますよね。
「僕とご飯」じゃなく「寿司屋に行く。」
すると、無事日にちが決まって
デートに行けたわけですよ。

間宮
それ使えるなぁ。笑。

谷尻
目的ってすごく重要だなって思って。
目的と手段というのが明確になるっていうのは、
プロジェクトも、町づくりも、
人と人の関係でも繋がってるんだなぁって
よくわかったんですよね。

 

───細胞をデザインする。

間宮
なるほど。
ところで今、
社員さんのための食堂を作ってるんですよね?
場所どこですか?

谷尻
東京の代々木上原です。

間宮
なんでまた食堂を?

谷尻
設計事務所って、食生活とか寝る時間とか
生活がグチャグチャになりがちなんですよね。
そうすると、病んで辞めちゃうとかもよく聞く話で。

間宮
半分以上そうですもんね。

谷尻
じゃあ、ガールフレンド見つけられて、
食生活もサポートされてて、
健康でってなれば
働く環境としては申し分ないかなって。
それで、前から社食を作りたかったんです。
一応社員のためなんですけど、
THINK』と同じで、
どうせなら町の人にも食べてもらおうと思って
『社食堂』って名前で4月の頭にオープンする予定です。

間宮
話すとか食べるって、当たり前のようですけど、
一番大事かもしれないですね。
サカイノマはカフェなので、
ここに集まって、話して、ご飯を食べる
っていう場ですけど、
近くにそういう場所がどんどん増えてほしいです。
まだまだ古民家や町家が残ってるんで。

谷尻
いいですね。

間宮
町紋提灯みたいに町内に1個ずつ作って
20個ぐらい出来ると
町がホテルみたいになって、
その間に美味しい食べもん屋があって。
ちっちゃい町なんで、
全体がそうなるとすごく面白いと思います。

谷尻
「町がホテルであり、レストランであり、美術館である」
っていう状態が作れるのはすごく魅力的ですね。

間宮
堺の包丁とシェフがイベントをやったり、
自転車産業活かして町乗りしたり。

谷尻
包丁とか外国人の方すごい好きそうですよね。

間宮
谷尻さんは、建築やデザインを
これからどういうふうに
生かしていきたいと思ってますか?

谷尻
デザインっていうのは
「思考変換の手段」だと思っています。
デザインで古いものに新しい価値が生まれると
誰も見向きもしていなかったものに
注目が集まる。
価値観を変換することができるんです。
そういうことをもっとやっていきたいですね。
そう言う意味で僕は
「食」も「細胞をデザインする」
って言ってて。
結局同じものを食べれば
同じもので細胞形成されていくはずなんで
チームを作ってく上で
すごくいいと思ったんですよね。
健康なものを食べてれば
健康な細胞で体ができて、
健康な思考が生まれ
健康なアイデアが出て、
健康なプレゼンテーション
健康な働き方っていい流れになる。
実は一番川上に「食」があるんじゃないですかね。

間宮
そうですね。
食べる話してたらお腹すいてきましたね。
そろそろ飲みながらにしましょうか。
今日はここを作ってくれた大工さんだったり、
堺の町の活性化をされてる行政の方だったり、
色々な方が来ていただいてて。
ここからまた堺を

谷尻
楽しみですね。
こういう場所が出来るとまた変わり始めるので。

間宮
谷尻さんにもどんどん堺を宣伝頂いて。

谷尻
はい。宣伝します。

間宮
じゃあ続きは飲みながら

谷尻
はい。ありがとうございました。

(谷尻さんと間宮さんのトークは以上です。ありがとうございました。)


Author
古島 佑起

ことばとデザイン主宰。グラフィックデザイン、コピーライティングを軸に、行政、教育、芸術・文化、医療、飲食、農業など幅広い分野で、広告制作やイベント企画、商品開発などを行なう。近年は大阪・八尾のものづくりの魅力を発信するプロジェクトYAOLAで精力的に地域と関わる。

最近の記事

×

ページトップ